訪問看護ステーションよつば

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朝晩は涼しくなって昼間もエアコンをつけることが減り、暑い夏を乗り切って過ごしやすい秋になりました。 毎週車椅子で自宅周辺を散歩される利用者さんも、道の脇で咲くヒガンバナをみつけて車椅子を止めるよう私たちに伝達されました。人工呼吸器を装着されているので声に出して「止めて」とは言えません。足が動かせるので膝の間にスイッチを置いて膝を動かしてそのスイッチを押すと、ピンポーン♪と音がなる仕組みになっています。音がしてその利用者さんの顔を見るとヒガンバナに視線を移していたので「ヒガンバナが見える位置で止まりますか?」と聞くとまばたきをされました。まばたきは「yes」の合図です。その位置で止まってヘルパーさんとお話をされている様子が写真の一枚目です。透明文字盤を使って黒目の示す文字を文字盤の裏側にいるヘルパーさんが指で確認して追って行きます。一文字ずつつなげて文章になります。なので、私たちが話せば数秒で伝えられることでも文字盤を使うと何分もかかります。利用者さんが示した文字と、ヘルパーさんが指さした文字が違うと「yes」のまばたきができないので、長い文章になると利用者さんの目も疲れます。何年も前の私の失敗ですが、文字を追っていくうちに初めからの文章を忘れてしまうなんてこともありました。これには利用者さんにとても怒られました。声の出ない方が「伝える」ということは大変な事なのですが、伝えることを諦めてしまう方に出会ったことがありません。いくら私が文字盤の読み取りが下手でも通じるまで伝えられます。なので、受け取る側の私も絶対に諦めていけないという想いがあります。
先日、人工呼吸器は付けていませんが病気の進行のために話しにくくなってきている方に、いつもにも増して聞き直しをしました。その日は聞き取りにくかったのです。聞き取れずに分かったふりをすることや、聞き取れた言葉だけで自分なりに解釈することは、たいていはその方が言いたいこととズレていると思うのです。なのできちんと聞き取れないと、聞き取れるまで何度も聞きました。結果、「もういやだ」「疲れる」と言われてしまい口を閉じられました。あの時私に何が言いたかったのかわからないままです。利用者さんの話す機能としても限界が近いと思うので、「喋る」以外の意思伝達方法を確立していかないと行けない時期だなと思いました。動く足や手を使えば、パソコンでの入力などいくらでも方法はあります。ただ、災害時のことを考えると、電源の不要な意思伝達手段として「透明文字盤」は必須になります。文字盤は購入もできますが、手作りもできます。使う頻度の高い言葉を「定型文」としてオリジナルの文字盤を使う方がほとんどです。私は作ったことないのですが、スタッフと一度作ってみようかなと思っています。
写真2枚目は今日の事務所の様子です。ちびっこが遊びに来てくれました。お目当てはプラレール。自分の世界に入って楽しんでいました。「将来はよつばで働くね!そしたらたくさん遊べるから!!」と言って帰っていきました。20年くらい後の就職希望者確保です。